当時パソコンなどはまだ持っていなかったので、電話帳でよさげな医院を探してとにかくすがる思いで行った。
その医院はまず他の病院に行ってレントゲンを撮る、そのレントゲンを基に治療をしていく。
本来、首の骨は上のように後ろに反るのではなく、前にそっていなくてはならない。
当時肩こりがひどく真上も向けないほどだった。
私の場合、机に這いつくばるような仕事を長年していたせいでこのような歪みができていた。
院長によると、このまま放置すれば骨は癒着し元にはもう戻れなかったそうだ。
多くのカイロプラクティックは骨をポキポキなどとしてズレを直してゆくのだろうが、ここは違った。
アトラスという、頭蓋骨と背骨をつなぐ1番上に位置する骨を正しい位置にもどす。
分度器みたいな目盛がついたベッドに横になり、耳の付け根にガン?をあてる。
レザーガンではないが、多分振動波のようなものだろう?骨を動かすのだから。
バン、と1発発射で完了。
痛くも痒くもないが、後半日は体が怠くなる。
その1発で元来の位置に戻るのだが、長年かけてできた歪み、骨はまたそちらに歪もうとする。
通院の初めはすぐ戻ろうとするので、毎回あのガンの治療を受けていたと思う。
骨が安定してくると、ガンは使用されず骨をポキポキと他からの歪みへの調整が行われた。
その頃には、もうあの悪夢からはとっくに解放されカイロ様様だったのだ。
通院しだしてどれぐらい経った頃か?
ある日ふと耳鳴りがしている事に気がついた。
気がつくと気になる、何日経っても耳鳴りは続く。
当時働いていた会社の近くで評判のいい耳鼻科に行く事にした。
聴力検査。
一体全体?どうしたの?という感じだった。
聴力は7,80代並み、とにかく先生を紹介するからMRIを受けれる大きな病院に行きなさいと言われた。
紹介状を持って大きな病院へ。
初めは問診と目をつぶっての足踏みやバランスチェック・・ガタガタだった。
後にMRI、検査結果は異常なし・・・病院ではまた来なさいとも無く、とにかく血流をよくする系の
薬を処方されただけだった。
本人としては耳がそこまで聞こえていないとは気づいていなく
耳鳴りがするから聞こえにくい
それぐらいだったんだ。
しばらくして、当時の会社の解雇が決まり、治療費の高いカイロは止める事にした・・
最後の治療。
診察の前、ベッドに横になりまず電気パットで筋肉を暖かくする、その後治療があり、最後にふくらは
ぎの筋肉をのばす台に数分乗り治療が終わる。
台にのっている時間を計るのにお知らせタイマーが使われているのだが、最後近くにはこのお知らせタ
イマーの音は完全に聞こえなくなっていた。
・・・聞こえてないんだなぁ・・・
療室には何人もの患者さんが入れ替わりで入ってくる、この肩を落として部屋を出ようとした時、一人
の患者さんが先生に 『先生、このごろ耳鳴りがひどいんです』
その当時は耳の原因はカイロだと思っていなかったが、何かがこの時フトよぎった。
今は、物的な証拠は一切無いが、私の難聴の原因はこのカイロプラクティックだと思っている。
骨をずらすほどの振動波のようなものであれば、耳の繊細な器官にあたれば音を感知する繊毛など根こ
そぎ倒れても不思議ではないだろう?
カイロに通い始めた頃、耳の後ろのリンパあたりに水泡ができて液が出た。
・・・あの時・・破壊されていたんだなぁ、多分。
でも、起こってしまったものはどうしようもない。
そう、あの私はどうなってしまったんだ? あの救いようの無い状態からカイロで助けられたのは事実。
そう考えていたが・・・あの最後の診察室で耳鳴りを訴えていた人も・・多分私と同じような道を辿って
いるのだろう。
耳の器官の位置が違うのか?そういう人だけか?みんながみんな難聴になっているわけでは無いだろうが
・・・同じ苦しみをする人を、あの医院は今も作りだしているのだろうか?
|